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Spring Waltz#10-4/4

つづきより


 教会の懺悔室で、チェハは苦しみを告白しています。


 「ある人を愛しています。

  相手は、愛しちゃいけない人です。

  なのに、気持を抑えられません。」

 「愛することは、罪ではありません。

  気持に従いなさい。」

 「でも、僕には大事な友人がいます。

  かけがえのない友達。

  僕のことを信じてくれて、僕のためなら何でもしてくれる奴なんです。

  その友人の愛している女性を、僕が愛してしまいました。」



 チェハの弾く悲しげな曲にあわせて、フィリップも包帯で巻いた右腕にも構わずに、ピアノの鍵盤を弾くマネをします。

 ウニョンにもなぜか悲しさを感じさせる曲でした。


 
 「楽譜がないよ。

  楽譜がないんだけど。

  それでも仕事しているつもりか。

  楽譜のことまで、僕に気を使わせるなよ。

  やる気ないのか。

  給料だけとって、何もしないなんて、 どういうつもりだ。

  今度こういうことがあったら、 マネージャー変えるぞ。

  しっかりしろ。」


 好きなウニョンに当り散らすチェハって、いったいどうしたのでしょう。ウニョンは突然の仕打ちに驚き、部屋に戻って泣き出してしまいます。

 チェハはその部屋の外でためらっています。中からはウニョンが激しく泣きすする音が聞こえ、いたたまれなくなって外に出て行きます。

 
 ウニョンは思い立って外に行きます。

 河原にはチェハが考えごとをしていますが、そこにつかつかとウニョンが近寄ります。


 「急にどうしたんですか、理由だけでも教えて。」

 「何の理由?」

 「楽譜が見当たらないぐらいで大騒ぎして。」

 「なにか勘違いしてないか。

  ちょっと優しくしてやったぐらいで、気があると思い込んでるんだろう。

  立場を良く考えろ。

  珍しかったんだ。

  君みたいなクラスの人間は初めてで、
  
  韓国に来て退屈だったから遊んでみたけど、

  もう飽きたよ。」



  ペシッ!


 苦々しい顔で立ち去るチェハ。河原に座り込んで泣き出すウニョン。

 
 胸に迫る何かがチェハをウニョンのところに戻らせます。


 そっとウニョンに手を添えて立ち上がらせます。もう、ウニョンは泣きじゃくっています。


 じっとウニョンを見つめ、そっとキスするチェハでした。



 その様子を、テラスからフィリップが見ているなんて…。
by arrive_at | 2007-06-23 18:56 | 春のワルツ 2007

CHANEL ROUGE ALLURE 24 EVOCATION


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