ペ・ヨンジュンの「四月の雪」 その3

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この映画のDVDには、音声による監督と撮影監督の対談が入っています。ストーリーに沿って、その撮影の様子や困ったこと、俳優の様子などを思い出しながら語っていくので、現場の人しか分からないことなどもいろいろと知ることができました。

 例えば、主役の二人はお酒を飲むと顔が赤くなるそうですが、それでも、本番前からお酒を飲んで演技をしたなど、現場の事情を映画の側面から語っています。

 この映画の評価については、一般人のブログなどを見ると、私が書いたものとよく似ていて、それほどすごいとは感じられなかったそうです。しかし、この監督対談や映画紹介の解説を追っていくと、韓国ドラマの人気や俳優の人気以外にもっと映画としてのストーリー性や雰囲気、表現のデリケートさなどを作品に込めて作るという作業の大変さが伝わってきました。

 先ずは、ペ・ヨンジュンさんのインタビュー記事から抜粋です。この作品の特徴が出ていると思います。

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ぺ・ヨンジュン『四月の雪』単独インタビュー

■演技のスタイルを変えた
Q:今回の記者会見で「『四月の雪』は今までで一番大変だったと話していましたが……監督の注文で一番大変だったのは?

わたしは今まで、演じる人物をあらかじめ計算し準備してから撮影に入るという形をとっていました。ところが、今回はそんな事前準備を一切しないで、演じる人物になりきるという演技の形をとったのです。つまり、撮影が始まるとわたしは、主人公のインスになりました。インス本人としてすべてを表現しなければならなかったのです。ですから、監督からの注文が特別大変だったというようなことはなく、「演じる人物になりきる」こと自体が大変でした。



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■入院するほどなりきった
Q:あまりみごとにインスになりきっていたので、わたしはペ・ヨンジュンさんが本当に不倫をしてしまったのではないかと錯覚してしまいました。

(笑)ええ、わたしはインスそのものでした。それで、ペ・ヨンジュンに戻っても精神的に苦しくなってしまいました。もちろん撮影中は辛く、撮影が終わってからもインスから抜け出せなくなってしまい、とうとう入院までしてしまいました。


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■情熱的な恋愛は経験済み
Q:映画の途中、ヒロインのソヨンがインスに会うためにおしゃれをします。「あっ!ソヨンは恋に落ちたな」って思いました。でも、この時点ではインスはソヨンに惹かれてはいたけれど、まだ愛には至っていなかったように感じたんですが……。

読みが鋭いですね。インスは妻を信じていたし、とても愛していました。インスはわたしと同じように、不倫というものを許せない人でした。それなのに、ソヨンに惹かれていく自分をどうすることもできない。それでいて、その気持ちを愛だとは認めたくなかったのです。
きっとインスは今まで「情熱的な恋愛」をしてこなかったんだと思いますよ。


Q:ペ・ヨンジュンさんはいかがですか?

わたしは情熱的な恋愛をしましたよ(笑)。 この作品の中で不倫を体験し、愛や人生、裏切りさえも理解できるようになりました。


Q:「不倫の恋」に落ちてしまう役を演じられて、撮影前と今とでは人生観や結婚観、女性観は変わりましたか?

わたしはこれまでいつも自分の中に枠を作って演技をしてきました。そして人生さえその枠の中にはめこもうとしてきました。そんなわたしがこの作品を通してその枠を取り払えた。人生や愛についての理解の幅が広がったのです。だからこそ、今まで以上に『信じられる女性』とめぐり会いたいと思うようになったのです。お互いが信じて一生過ごせる『最後の愛』にめぐり合いたいと。

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 次に、作品のストーリーと映画の宣伝です。公開されたのは2005年9月ですから、昨年の今頃でした。

ネタバレにご注意!


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イントロダクション

深く、静かに、揺れる男女の想い
新たな“ラブストーリー”の傑作が生まれます。
この秋、アジア各国で公開される待望の話題作『四月の雪』。
韓国を代表する男優ペ・ヨンジュンと韓国映画の宝石と呼ばれる女優ソン・イェジン。『八月のクリスマス』『春の日は過ぎゆく』と日本人の心に響くラブストーリーの傑作を撮り続ける名匠ホ・ジノ監督によって、ふたりは、新たな愛の色をスクリーンに焼き付けます。様々な“ラブストーリー”で愛を表現してきたペ・ヨンジュンとソン・イェジンが、こらえ切れない男女の心の揺れを、静かに、そして深く描き出してゆきます。

男の帰りを待つ女。女の帰りを待つ男。
ある日、互いの伴侶の事故の知らせが、ふたりを引き逢わせる。見知らぬ街、永遠のように長い時間、そして知らされる、信じていた者の悲しい嘘。絶望の淵に立たされたふたりはやがて、互いの傷を癒すかのように惹かれ合っていく。それが、決して積もることのない四月の雪のように、はかない恋だと知りながら……。

撮影は2月4日から開始され、6月18日にクランクアップ。それまでの5か月間、映画のために用意されたセットのような寂寥(せきりょう)感のある韓国東海岸の三陟(サムチョク)市のロケや、韓国の人気アーティストが出演する実際の野外コンサートでの撮影などが話題となりました。
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 その他の記事「四月の雪 徹底解説」



 上記のインタビューや映画紹介などの記事を読み、そして、DVDの監督と撮影監督の話をあわせて聞くと、美しい映像、心の葛藤、デリケートな感じが地味な作品に映りますが、俳優としてはなかなか難しい心理描写の演技だったようで、作品としての完成度は良かったのではないでしょうか。

 また、ペ・ヨンジュンさんの演技力もなかなか素晴らしいもので、悩む男、悩む亭主、悩む恋人という立場になりきっての表現だったように思います。内面を表わすのは演技としても難しいのでしょうね。

 撮影が終わった後でペ・ヨンジュンさんが入院したというのも分かる気がします。ストーリーとしてはパッとはしませんでしたが、じっくりと人間の気持ちの変化を捉えたいい作品でした。


追記: 監督と撮影監督が最後のシーンを見て感想を述べ合うのですが、

 撮影監督 「ラストは自分の妻や夫が不倫をしていたのと同じ景色を二人が見ているところですが、このあとは二人は幸せになるのでしょうか…」

 監督 「それはきっと幸せになるでしょう。」

 撮影監督 「そんなふうには見えないんですが(笑)。」


 雪の降りしきる自動車道を、あてもなく二人は走っていくのですが、「これからどこに行きましょうか」という女に対して、「どこに行きましょう」と答える男の声で終わります。確かに、幸せになるようにも思いますが、普通に考えると不幸を引きずったままになりそうで、撮影監督の感想に近いものを感じました(笑)。
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by arrive_at | 2006-10-25 14:05 | 四月の雪  

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